■ICL(Implantable C0llamer Lens:有機水晶体眼内レンズ)
ICLについて
ICL・・・有機水晶体眼内レンズについて
眼内レンズは、一般的には白内障によって視力が低下した.患者さんが白内障手術を受けて濁った水晶体を取り除いた後に、水晶体の替わりに入れるプラスチックやシリコン・アクリル製の人工レンズのことを言います。
一方、水晶体は温存し眼内に人工レンズを移植して屈折を矯正することも可能です。これがICL(Implantable Collamer Lens)という特殊な人工レンズです。ICLのImplantableとは「眼内に移植できる」、CollamerとはHEMAとコラーゲンの共重合体素材(コラマー)を現す造語、Lensはまさにレンズのことで、その名(有水晶体眼内レンズ)の名前の通り近視や乱視を矯正する目的で正常な水晶体のある目に挿入する眼内レンズです。ですから水晶体を摘出するわけではありません。簡単に言えば、近視の患者さんが装用しているコンタクトレンズが眼球に入ったと想像してみて下さい。
左の写真がICLです。大きさは全長11.5mm~13.0mmで角膜より一周り大きなサイズです。下の写真は眼球内に挿入されて固定されたICLの模式図です。
ICLは眼球内に縫い付けるのではなく、虹彩の奥で水晶体の前のわずかなスペース内に挿入します。角膜あるいは強角膜の長さ3.5mmの小さな切開創から眼球内に挿入します。エキシマ・レーザーによる近視矯正手術と異なり眼球内の操作を行いますので片眼ずつ行いますが、希望があれば同日片眼を手術したと2~3時間の時間を空けて手術することも可能で日帰り手術・入院手術どちらでも可能です。
主治医がレンズを挿入するためのステップを説明するショートビデオをご覧ください。
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■ICL手術に適しているのは
ICL手術に適しているのは
LASIKなどの近視矯正手術を希望しても角膜の厚さが不十分の場合が手術の対象となります。
実際に角膜の厚さと近視の度数の関係を表に示すと下のようになります。
近視の度数が強くても角膜の厚さが十分であればLASIKは可能です。しかし角膜が薄い場合には、たとえ近視度数が弱くてもLASIKが不可能なことがあり、その時にはEpi-Lasikを選択することになります。もちろん、角膜が厚かったとしても近視度数が極端に強ければLASIKもEpi-LASIKも不可能な場合があり、その時にはICLの適応となります。概ね500μ(0.5mm)以下の薄い角膜の場合、また近視度数が-10Dを越えるような強度近視の場合にはICLの適応と考えられます。最近では角膜の厚みが厚くてLASIKが可能でも、強度近視では術後のハレーションや夜間視力の低下する可能性を考慮してICLを選択する例が増えています。その理由は、角膜の曲率(カーヴ)を変化させる手術ではありませんから眼球に入る光が散乱する可能性が少ないこと、また虹彩の後方にレンズがあるために自然な眼球の形状に近いことが上げられます。さらに近視度数は軽くても、例えば円錐角膜のように角膜自体に疾患がある場合には、角膜を手術することはできませんから、その近視を矯正するにはICLの適応と考えられます。ICLは眼内に人工のレンズを挿入するので、角膜そのものを操作するのではないからです。
LASIK、Epi-LASIKなどの他の手術との違い
(利点)
1.LASIKでは矯正できない強度近視でも手術可能
2.角膜が薄い場合や円錐角膜のリスクの高い症例でも手術が可能
3.強度近視でのLASIK手術後に見られるコントラスト感度の低下やハロ
・グレアの発生が少ない(夜間の見にくさや光の乱反射が軽減される)
4.LASIKで起こりうる術後近視への軽度の戻りが少ない
5.強度近視の場合でも正常眼により近い眼球構造を維持できるため、手術
前より最大矯正視力の向上が見られることがある。
6.LASIkでのフラップ作成による角膜知覚・ドライアイの発生率が少ない
7.レンズを摘出して元の状態に戻すことが可能
(欠点)
1.価格が高額
2.手術に高度な技術を要する(手術施工の資格を要する)
3.LASIKと比較して症例数が少ない(強度近視などの適応症例が少ない)
4.LASIKと比較して手術の歴史が浅い
5.軽度近視、強度の乱視に対しては適応を外れる場合がある
ICLの適応と特徴・禁忌
1.LASIK・Epi-LASIKでは完全矯正できない強度近視や角膜が薄い症例に
適応
2.LASIKは角膜を削るので手術前の状態に戻すことは不可能だが、
ICLは必要に応じて摘出することが可能
3.円錐角膜などの角膜そのもに疾患がある症例でも手術可能
{適応}2010年4月現在 ICL適応ガイドライン
①近視度数:-6.0D以上
②乱視度数:-2.5D以下(強度乱視の場合も手術は可能だが、厚生省未認
可のため今後は適応拡大予定)
③矯正視力:1.0以上
④年齢:原則的に21歳以上45歳まで(老眼の可能性を考慮して)
⑤角膜内皮細胞密度:
年齢21歳~=-2800個/mm以上
年齢36歳~=-2200個/mm以上
⑥十分なインフォームドコンセントを受け、手術の内容を理解している
こと
(禁忌あるいは注意を要する場合)
①眼の病気(角膜・虹彩・瞳孔・眼内疾患・網膜疾患・白内障・緑内障
など)がある場合。具体的な疾患の適否については医師にお聞き下さい
②角膜内皮細胞数が2,000個/mm以下で出による角膜に対する影響が考
えられる場合
③角膜前房深度(角膜裏面と水晶体の距離)が2.8mm未満
④散瞳不良(散瞳後の瞳孔口径は8.0㎜以上が望ましい)
⑤隅角(角膜裏面と虹彩の距離が)極端に狭い場合
⑥妊娠中・授乳中
⑦コラーゲンに対する過敏症
⑧医師の説明が理解できない
⑨屈折矯正手術が許されない特殊な職業あるいは環境
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■手術の安全性について
手術の安全性について
ICLは2010年に厚生省から近視矯正手術の一手段として認可されました。欧米ではすでに10年以上の臨床実績があります。
また欧米とくにアメリカでは年間1万例以上の手術実績があり、その安全性は既に確立されているといってよいでしょう。しかし手術である以上、以下のような合併症の可能性がないとはいえません。
1.ぼやけて見える
手術直後から視力の改善はおそらく実感できるでしょう。しかし手術による術後炎症によって生じた角膜浮腫(角膜が一時的に白く混濁する状態)などの影響で全体的にかすんだり、ぼやけたりすることもあります。炎症が軽快するまで1週間程度必要となる場合があります。
2.矯正不足・過矯正
屈折度数を100%の精度で調整することは事実上不可能で、そこまでの精度はICLにはありません。したがってICLを挿入した後に遠くや近くを見る際には薄い眼鏡が必要となる場合があります。また、必要に応じて度数の異なるICLと交換する必要があることもあります。
3.痛み・異物感
手術による刺激で痛みや異物感を自覚することがあります。術後数日でほとんど消失しますが、暫く持続することもあり、点眼・内服が必要となることもあります。
4.結膜下出血(白目の出血)
手術の際には結膜あるいは角膜を一部切開してICLを挿入しますので、結膜血管から内出血することがありますが10日~2週間で自然消失しますし、視力や眼球への影響はありません。
5.感染症
ICLを挿入した切開創が完全に接着するまでに、傷口から細菌感染を起こす可能性が皆無とはいえません。(発生率0.0016%)その場合には抗生剤の内服や点滴、程度によってはICLの摘出が必要になることもあります。ICL手術だから感染の危険性が高いわけではなく普通の眼科的手術と同じ考え方でかまいませんが、手術部は清潔に保つように注意が必要で、術後しばらくは感染予防としての抗生物質の点眼が必要です。
6.眼圧上昇
手術操作上で眼球維持のために特殊な薬剤を使用します。その薬剤の影響で一時的な眼圧上昇や、また手術後の炎症反応によって眼圧が上昇することがあります。予防的に薬剤を使用し、眼圧上昇の際には点滴・内服をすることがあります。
7.ICLの位置の異常・瞳孔の変形
ICLは虹彩の後方に挿入し固定します。虹彩に縫い付けるのではありませんが眼球のサイズと比べて大きすぎる、あるいは小さすぎる場合があります。その場合にはICLと水晶体の間隔が広すぎたり、逆に狭すぎたりします。その場合にはICLのサイズ交換や位置修正の手術が必要になることもあります。
8.片眼手術による不同視
エキシマ・レーザーによる手術と違って、ICLを片眼ずつ行う場合もあります。片方の目を手術してからもう一方の手術までの間、両眼の屈折度数の差が非常にに大きいために不便を感じる場合があります。必要ならばもう一方の目はコンタクトレンズをして頂いても結構ですが、その際は必ず医師の指示に従ってください。
9.乱視の増強・矯正視力の低下
ICLを挿入する際の切開あるいは縫合のために乱視が出現することがあります。また手術前に比べて最高矯正視力が1~2段階低下することがあります。
10.白内障の発生(水晶体の混濁)
白内障の発生は年齢的な要因も影響しますので、ICLが原因とは一概に言えない部分もあります。過去のデータでは年齢的な要因を加味してもその発生率は0.4%といわれています。視力に影響しない程度のものであればそのまま外来で経過観察して構いません。もし進行して視力障害を起こした場合にはICLを摘出し白内障手術が必要になることもあります。暗い所では瞳孔が開きます。瞳孔径がICLの直径(5~6mm)より大きくなる場合、にじんで見えたりICLの影が見えたりすることがあります。
11.その他
安全性はぼ確立しているとはいえ、他の眼科手術と比較するとその歴史はまだ浅いといわざるを得ません。まったく予期せぬ合併症が起こりうる可能性もあることをご了解下さい。
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